埼玉県八潮市 道路陥没事故から懸念される下水道崩壊のリスク☆
2025/02/12 (水) - 10:00 日常と生活
令和7年1月28日に埼玉県八潮市にて発生した道路陥没事故。トラックが一台陥没した穴に落ち、ドライバーの安否がわかっておらず、今現在(令和7年2月12日)も道路の修復とドライバーの救助に追われています。
この陥没事故はなぜ起きたのでしょうか。
老朽化した下水道と土砂の崩壊
今回の問題は下水道が崩壊し、道路が陥没したことに原因があるとされています。下水道が崩壊したことで土砂が崩落、道路の強度も脆弱になり穴が空いた可能性が高いです。
ではなぜ下水道が崩壊したのかというと経年劣化による老朽化と、硫酸によるコンクリートの腐食です。
下水道にはキッチンやお手洗いから流れた汚れた有機物や排泄物が流れます。この時に下水道管内では硫化水素と言われる気体が発生し、それが空気に触れることで硫酸となります。この硫酸はコンクリートなどを腐食させて少しずつ破壊します。
破壊された下水道の穴から土砂が流出し地下に空洞が出来、結果として道路の強度も脆弱になり今回のような事故に至ったと考えられます。
実は道路陥没事故は日常的に発生している
今回の八潮市の事故は、復旧作業中に陥没した穴が巨大化したり、作業のためにスロープを構築するなど、トラックとドライバーの救出が難航している様子が大々的に報道されています。さらに二次災害が起きる可能性もあるため、慎重に作業を進行する必要があります。
それに加えて付近の自治体のインフラにも影響が発生しており、排水の規制(洗濯や入浴の自粛など)が起きているのも話題になっている一つです。これは下水道に流れる水量が多すぎて作業が難航していることに起因しています。その下水道の水量を減らすためのパイパス工事や、河川への下水の放出などを行うなどの作業も発生し救出の準備に時間が取られているのです。
この2月12日に自粛はいったん解除されるそうです。
今回はトラックが穴に落ちてドライバーの安否が不明であるためインパクトが大きく、二次被害などで時間を要していることで話題になっていますが、実は道路陥没はかなりの頻度で発生しています。
下水道の老朽化による道路陥没事故は過去にも発生しており、東京都心部の丸の内の陥没事故をみてもわかるとおり、いつどんな場所で発生してもおかしくないのです。今後もこのような事故が増えることが予測されています。
下水道整備のピークが過ぎ、維持管理の時代に突入
標準耐用年数50年以上経過している管路は劣化の疑いがある
管路の腐食や浸入水等が原因となる道路陥没事故が多く発生
下水道老朽化多発の原因
日本は下水道の劣化と崩壊の時期に直面していると言っても過言ではありません。
下水道管の腐食
先に述べたように下水道に含まれる硫化水素などの腐食性物質により、管の内面や接合部が腐食し破損の原因となります。
下水道管の寿命
下水道管に使用されるコンクリートや金属は、経年劣化により強度や耐久性が低下します。昭和の高度経済成長期に整備された下水道管は、耐用年数を超えている可能性があります。
耐久性の低下
車両の通行などによる繰り返し荷重は、管にひび割れやずれを生じさせ劣化を促進します。
管理技術者の減少
下水道の維持管理を担う技術者が減少したり高齢化し、後継者不足や人員の確保が困難になってきています。
コスト問題の顕著化
地方自治体の財政的な制約、財政状況が厳しく下水道の改修や更新に必要な予算を確保できない場合があります。このような状況になると、定期的な点検が出来なくなったり劣化の進行状況を把握できず、早期の対策が遅れることがあります。
以上のように、下水道の整備が疎かになると道路陥没や溢水などの事故につながるだけでなく、生活環境や衛生面にも悪影響を及ぼします。国や地方自治体は早急な対策として、老朽化した下水道管の改修や更新、適切な維持管理体制の構築、技術者の育成などが求められます。
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